医薬品添加物の主な種類と用途

医薬品添加物の主な種類と用途

　医薬品の添加物は、製造や保存、服用を助けるために使われる。

　医薬品の添加物には多くの種類があり、それぞれが製品の品質や使いやすさを向上させる。次に、医薬品で使用される主な添加物の種類とその用途、ならびに具体例を示す。


種類
 用途
希釈剤（Diluents）
 医薬品の容量を増やし、均一な混合を助ける
（例）
・ラクトース
・デキストロース
・スクロース
・ミクロ結晶セルロース
・カルシウム炭酸塩
結合剤（Binders）
 固形製剤（錠剤やカプセル）の成分を結合させる。
（例）
・スターチ
・アラビアガム
・ゼラチン
・ポリビニルピロリドン（PVP）
・メチルセルロース
崩壊剤（Disintegrants）
 錠剤やカプセルが水に触れると崩壊し、薬物の放出を促進する。
（例）
・スターチ
・クロスカルメロースナトリウム
・ナトリウムデンプングリコール酸
滑沢剤（Lubricants）
 製造過程で製剤が機械にくっつくのを防ぐ。
（例）
・マグネシウムステアレート
・ステアリン酸
・タルク
・ポリエチレングリコール
流動助剤（Glidants）
 粉末の流動性を向上させる。
（例）
・タルク
・コロイダルケイ酸
・シリカ誘導体
防腐剤（Preservatives）
 微生物の増殖を防ぎ、製品の保存期間を延ばす。
（例）
・メチルパラベン
・エチルパラベン
・プロピルパラベン
・安息香酸ナトリウム
・ソルビン酸カリウム
抗酸化剤（Antioxidants）
 酸化による成分の劣化を防ぐ。
（例）
・トコフェロール（ビタミンE）
・アスコルビン酸（ビタミンC）
・BHA（ブチルヒドロキシアニソール）
・BHT（ブチルヒドロキシトルエン）
乳化剤（Emulsifiers）
 油水性混合物を安定させる。
（例）
・レシチン
・ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン（Tween 80）
・ソルビタンモノオレイン（Span 80）
・ナトリウムラウリル硫酸塩
安定剤（Stabilizers）
 製品の物理的・化学的安定性を保つ（分散剤、増粘剤を含む）。
（例）
・ゼラチン
・キサンタンガム
・カルボキシメチルセルロース（CMC）
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース（HPMC）
甘味剤（Sweeteners）
 味を改善し、特に小児向け製剤の服用を容易にする。
（例）
・スクロース
・ソルビトール
・アスパルテーム
・サッカリン
・グリセリン
香料（Flavorings）
 活性成分の不快な味をマスキングする。
（例）
・ミント油
・シナモン油
・ココア
・メントール
・ストロベリー風味
着色剤（Colorants）
 製品の見た目を向上させ、異なる製剤を識別しやすくする。
（例）
・チタン白
・鉄酸化物
・カーマイン
・キャラメル
pH調整剤（pH Adjusters）
 製品のpHを適切な範囲に保ち、安定性と効果を確保する。
（例）
・クエン酸
・クエン酸ナトリウム
・塩酸
・水酸化ナトリウム
・重曹
コーティング剤（Coating Agents）
 製剤を保護し、味をマスキングしたり、放出を制御したりする。
（例）
・シェラック
・HPMC
・ポリビニルアルコール
・セルロースアセテートフタレート
溶媒（Solvents）
 他の成分を溶解させる。
（例）
・水
・エタノール
・プロピレングリコール
・植物油
界面活性剤（Surfactants）
 濡れ性を向上させ、乳化や分散を助ける。
（例）
・ソジウムラウリル硫酸塩
・セトリミジウムブロマイド
・ポリオキシエチレンソルビタン誘導体（Tweens）
推進剤（Propellants）
 気体製剤（エアゾール）の噴霧を可能にする。
（例）
・トリクロロモノフルオロメタン
・プロパン
・ブタン
・二酸化炭素
浸透圧調整剤（Tonicity Modifiers）
 注射剤などの浸透圧を調整し、生理的条件に適合させる。
（例）
・食塩
・ブドウ糖
・マンニトール
吸着剤（Adsorbents）
 不純物や水分を吸着し、製品を安定させる。
（例）
・ベントナイト
・マグネシウム酸化物
・マグネシウム炭酸塩
・スターチ
可塑剤（Plasticizers）
 コーティング剤を柔軟にし、割れを防ぐ。
（例）
・キャストロール
・プロピレングリコール
・グリセリン
・ポリオキシエチレンソルビタン
防泡剤（Antifoaming Agents）
 製造過程での泡の生成を防ぐ。
（例）
・セトステアリルアルコール
・キャストロール
・シリコン誘導体
・アルコール
キレート剤（Sequestering Agents）
 金属イオンをキレートし、酸化を防ぐ。
（例）
・ディソジウムEDTA